
親子のコミュニケーションを学んでかれこれ20年。
わが子はすでにアラフォー(長女と長男)とアラサー(次女)だ。
学んだことをあれこれやってみて、その効果を実感してきたけれど、たった一つだけわが子で試せなかったことがある。
それが幼い子ども同士のケンカの仲裁。
習い始めのころ、上の二人は17歳と19歳。それぞれ別の世界があり、一緒にいることは少なくなっていた。10歳離れている次女は、きょうだいから可愛がられるだけで、ケンカにはならなかった。
そんな私に絶好のチャンス到来。孫のケンカだ。
わが家に遊びに来ていた2人。11歳の姉と6歳の弟。
仲良くゲームをしていたけれど、気づけば険悪な雰囲気。弟が私に訴える。「お姉ちゃんがイヤなこと言う」と。
さあ、バァバの出番だ。
私にやっと「ケンカの仲裁」のスキルを使ってみる機会がきたのだ。
やり方は簡単。まず、2人の間に入り、それぞれの言い分を聞き、橋渡しをするだけ。ただしケンカの当事者に、直接話をさせないのがミソ。そして仲裁者はジャッジをしない。おだやかな雰囲気で2人の話をしっかり聴く。
まず、「何があったのか教えて」と事実の確認。もちろん双方から聞き取りをする。
そして弟君から「その時、あなたはどんな気持ちだったの?」と言って話を聴く。次にお姉ちゃんに「弟の気もちわかった?でも、あなたも言いたいことがあるでしょう?」と言って発言をうながす。その繰り返し。
最初は感情的だった2人。けれどだんだん落ち着いてくる。自分の気持ちがきちんと相手に伝わり、また、相手の気持ちを冷静に受け止めることができるからだ。
私は、どちらが悪いかを判断したり、謝罪を促したりもしない。ケンカは片方だけが悪いということはないし、その時のことだけが原因とも限らない。
長いやりとりのあと、お姉ちゃんがまず「ごめんね」の一言。それはとても優しくおだやかな言い方だった。私は「すごくやさしくごめんねが言えたね」と声をかける。すると弟のほうからも「ぼくもごめんね」。そして私は彼にも「ちゃんと自分からごめんねが言えたね」と一言。
これで一件落着。
仲裁に入った私は一度も怒ることもなく、声を荒げることもなく、ニコニコ顔でいることができた。
ぜひ、みなさんもお試しあれ。
(文責:鶴田 明子)
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