おいしい食事とは?

新米がおいしい季節。
ある日のこと、わが家で孫たちと一緒に新米での夕食を済ませた後、更に家に帰る車の中でおにぎりを食べたいと言う孫たち。8歳と6歳の孫は、具を何も入れない塩おにぎりをそれも自分たちで握りたいと言い出しました。

ラップにご飯を置いてあげると二人とも三角おにぎりを上手に握り、一つは海苔を巻き、もう一つは海苔なしが良いと、二人がそれぞれ二つずつ作りました。
私も自分の分と車を運転してくれる息子の分とを作り、「じゃあ、車の中で食べようね」と車に乗り込みました。

早速食べ始めた私に孫たちが「あのね、車が動いてる時に食べた方がおいしんだよ。」と言います。「え?そうなの?」と言いながらしばらく待ち、車が出発してから皆でおもむろに食べ始めました。

「あ、ホントだ!車に揺れながら食べた方がおいしい!」と私。孫たちが教えてくれた通りでした。
すごいな!最高の食べ方を知ってるんだ!子どもの知識(?)に感心しました。本当のおいしさをよ~く分かっているんですね。

それで思い出したことがありました。

私の娘たちが小学校低学年の頃。ある日、夕食を作ろうとして冷蔵庫を開けると、なんと、キャベツと玉子しかありません。
仕方なく、キャベツを炒めて玉子を絡めたおかずを作ろうと思ったのですが、それだけを食卓に出したのでは少し貧相です。そこで一計を案じ、食卓の真ん中にホットプレートを置くことにしました。バターを溶かし千切りにしたキャベツを炒め始めました。もちろん子どもたちにも手伝ってもらいます。キャベツがしんなりしたら玉子を落としてキャベツに絡めていきます。

するとその時子どもたちから、「わあ~、おかあさん、今日はごちそうだね!」との歓声が上がったのです。
私は心の中で「えっ?これがごちそう?」と思いましたが、それを顔に出さないように気を付けながら「うん、そうだね~、ごそうだね~」とニッコリして言いました。そして家族みんなで「おいしいね」と言いながら食べたのです。

子どもはおいしさに敏感ですね。
何がおいしいのでしょうか?
それはそこに楽しさと喜びがあるからおいしいのでしょう。

上記の話は、子どもにとってのごちそうとは量の多さや高価な食物ではないことを教えてくれています。
私たちは生きるためには食べなければなりません。食べることで命をつないでいます。

しかしそれはただ食べ物をおなかに入れれば良いというものでもありません。
愛する人と一緒に楽しさと喜びをもって食することが生きることにつながるのだと思います。
大げさなようですが、子どもの心の成長には日々の些細な幸福感が意外と大きな影響を及ぼすものです。
(文責:野口 紀子

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