カエルの合唱

私が住んでいる地域では田植えが始まり、田んぼの水の香りと用水路に流れるチャポチャポという音に心地よさを感じます。今年の梅雨入りの発表はまだかな?

さて、雨が降るとカエルの合唱の始まりです!待ってましたとばかりにゲロゲロギャアギャアと一斉に鳴き始めます。これをうるさいと捉えるか楽しいと捉えるかは個人で見解が分かれるところでしょう。

カエルの鳴き声を聞くと思い出すのは、「カエルの合唱」という子どもの頃によく歌った歌です。

カエルの歌が聞こえてくるよ
クヮ、クヮ、クヮ、クヮ
ケ、ケ、ケ、ケ、ケ、ケ、ケ、ケ
クヮ、クヮ、クヮ、クヮ

歌詞もメロディーも単純で、子どもから大人まで誰でも知っていると思います。

輪唱した思い出がある人もいるでしょう。二人で輪唱しても大勢で輪唱しても、とても楽しいですよね。

私はこの歌に、最近特に感動を覚えます。なぜかというと、それは、あたかも人間がカエルに歩み寄っているようだと感じるからです。そして、私たちの輪唱は、カエルの家族が皆で雨を喜んでいることに重ね合わせているようにも思えるからです。カエルという、ただ自然に順応して生きている小さな生き物に対して、大きな人間の方が「私たちもその自然の仲間に入れてよ」とお願いしているかのようにすら感じます。

親子で、家族で、お友達同士で一緒にこの歌を歌う時、子どもの心の中に、小さな生き物たちも自分たち人間も自然の中でお互いに命を育む大切な存在であることを感じ、仲良く生きることの心地よさを感じる基となっているかも知れませんね。

ところで、最近たまたま通りすがりに、ある保育園から子どもたちの歌声が聞こえてきました。でも残念なことに、それは歌というよりも、まるで怒鳴り声のようでした。「大きな声で元気よく歌う」を「とにかく大声を張り上げる」と勘違いしているのかも知れません。しかも音程もめちゃくちゃです。大人が、「ピアノの音を良く聞いて、きれいな声で歌おうね」と、きちんと教える必要があると感じました。

日本の童謡は、子どもが人生の初期に出会う崇高な芸術作品です。提供する側の質が問われますね。そう、昔あるレストランのシェフが私に「どんなに高級な料理も提供する人(ウェイターやウェイトレス)の振る舞いで味が変わる」と教えてくれました。一流のシェフが料理したものは、提供する人も一流でなければなりません。その話に照らし合わせると、芸術作品である歌を如何に子どもに提供するかで、子どもの心の養われ方が違ってきます。決して一流とはいかないまでも、歌の情景を思い描きながら、子どもたちの心の成長のために歌を作ってくれた作者に感謝を込めながら、きれいな声で丁寧に楽しく歌いたいですね。

(文責:野口 紀子

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