とある病院の待合室でのこと。
すぐ側に、車イスの80代後半の母親を連れた60代ぐらいの息子さんが座っていた。
「今日は何?」「検査だよ」…とのやり取りが2〜3分おきに何度もくり返される。
その後…
「あんた何処が悪いとね。先生に言っておくから、ちゃんと診てもらいなさい!」と状況を誤認しキツイ口調で諭す母親。
息子さんが受け流すように生返事すると、すかさず…
「こんなに気遣うお母さんで、あんた幸せよ」
「こんな良いお母さんおらんよ。お父さんも『お母さんと一緒になって幸せ…』って言ってたし。あんた、お母さんの子で幸せやね」…と大声で話す母親。
「その話はここでは良いから」とうんざりした様子で息子さんが遮る。
この60年ほど、母親はずっとこんな感じでわが子に接してきたのではないだろうか。
この息子さんは、この押しつけがましい母親に対してどの様な想いを抱きながら育ってきたのだろうか。
そして、介護が必要になった今、どんな気持ちで関わっているのだろうか。
…と、思いを馳せずにはいられなかった。
親子とはいえ、別人格。
価値観も感情もそれぞれ違う。
当然ながら「幸せ」かどうかも子ども自身が感じることで、親が決めるものではない。
私も学んでいなければ、あの母親のように「きっとこう思っているはず」と勝手に子どもの気持ちを決めつけていたかもしれない。
「どう感じてる?」
「どのように考えているの?」
問いかけないと分からない。
この問いかけは娘や息子たちにも自然に受け継がれており、学んで良かった💕と実感。
とても嬉しいし誇らしい。
(文責 佐藤 由美)
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