「敷島の大和心を人問はば 朝日に匂ふ山桜花」

これは江戸時代後期に「古事記伝」(漢字表記のために解読不能で忘れられていた「古事記」を分かり易く翻訳。おかけで一般の人も読めるようになった)を著わした本居宣長の歌です。私は桜の季節になると毎年この歌を思い出します。

桜と言えば現代では一般的にソメイヨシノ(染井吉野)を指しますね。ソメイヨシノが一斉に咲くのは全てがクローン、つまり挿し木で増やされたからだそうです。薄ピンク色の花が広い枝一杯に咲き、花が散った後から葉が出てきます。

一方、山桜は赤い若葉とピンクの花が同じタイミングで咲くそうですから、春の山に明るく温かな美しさをもたらすのでしょうね。

「桜は田んぼの守り神」という話も聞いたことがあります。桜の花が散った後に田植えが始まるからでしょうか。田んぼは日本人にとって命の源のようなものですから、「桜が咲いた。さあ、次は田植えだぞ!また一年、精を出して働いて豊かな収穫を願おう!」そんな気持ちにさせるのが桜であるという意味だったのかも知れません。

日本中にソメイヨシノが植えられたことを思えば、本当に私たち日本人は桜が大好き!
もっと言えば植物が大好き!
更に言えば自然が大好き!という感じがします。

自分の家の財産よりも周りの自然を豊かに継続させることを公共の財産として大切にして来た、それが私たち日本人の民族性とでも言うべきものなのかなあ?と考えたりします。正に本居宣長の歌にあるように「大和心」なのでしょうか。自分の知らないところで、遺伝子の中にこの想いが埋め込まれているような感じすらします。私は自分が持つこの遺伝子を心から歓迎します。「ああ、日本人に生まれて良かったなあ」と。「自然を愛するという、先祖からの美意識を受け継がせていただき幸いだなあ」と。

皆さんはどのように感じていますか?お子様たちとお花見に出かけた時には、皆で思いっきりその美しさを喜んで欲しいと思います。幼い時に親や愛する人たちと一緒に感じた「善き想い」はその人の人生の宝となり繁栄と幸福をもたらす、と私は信じています。しかも豊かな自然の中で感じる「善き想い」は、嬉しいことにお金もかかりませんものね(笑)。
下の写真は私の大好きな史跡「水城跡」の桜です。
(文責:野口 紀子

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