親の価値観と子どもの選択

あるワークショップでの話。1人のお母さんが悩みを打ち明けられる。

小学校2年生のわが子。本人の希望で習い始めた剣道。今、やる気がなくなっているとのこと。

始める時にお父さんと約束をしていた。「一度始めたら、せめて小学校を卒業するまでは続けなさい。約束できるのか?」という問いかけに「約束する。」ということで習い始めた。

ところがほどなく「自分には合わない。」と思ったらしく、やめたそうなそぶり。でもお父さんとの約束があるのでやめられない。でもおもしろくないのでやる気が出ない。おけいこにも熱が入らず、怒られることも増え、ますます態度が悪くなる。

母親としてはやめさせてもいいのでは、とも思うがお父さんとの約束もあり、「継続は力なり」という言葉もあるように、ちょっと嫌になったからといってすぐに投げ出すようなことをさせてはいけないのではないかと思って悩んでいるとのことだった。

みなさんはどう思いますか?

★その約束、子どもにとってどうなの?
 子どもがおけいこを始める時に、わたしたちはつい「成果を出して欲しい」「何らかのものを身につけて欲しい。」と思ってしまう。しかも始めるにあたってそれなりの費用がかかってしまう場合はなおさらだ。(剣道などはお金がかかりそうですよね。)
 けれどだからといってこれから6年生になるまでの長期間、やりたくもないことをイヤイヤし続ける時間はその子にとって大きな時間の損失だ。
 子どもは何か「やりたいな。」と思った時には、親が言うハードルの高い約束に対して「やる」と言ってしまうのは無理からぬこと。でも、やってみて初めて「違った」と思うことはよくあることだろう。
 大人だって選択を間違えてしまった時は、仕切り直しが必要。いつまでも自分をよくない環境のところにおいておくよりも、切り替えて新しく自分に合った場所に移動することはとても大切なスキルだ。
 「継続は力なり」という価値観自体は悪いものではないけれど、人に押しつけるものではないだろう。親だからといって子どもにその価値観を押しつけるのは間違いだ。

★「継続は力」という価値観で育てられると、始められない人になりますよ、と言った人がいた。「なるほど!」と私は思った。
 そもそも自分にとって楽しく価値のあるものが見つかったら、やめろと言われても継続するのではないだろうか。
 子どもの時だからこそ、いろんなものにチャレンジしてみたくなるのは当然。でもすぐに飽きたり、つまらなくなったりするのも当たり前の話。そうしながら自分にとって大事なものにめぐりあうのではないだろうか。親の価値観にしばられて子どもの大事な時間を奪わないようにしたいものだ。

(文責 鶴田 明子

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