お月様がついてくる

関わり方のコツ

今年の夏も暑かったですね。
それでも最近では、ツクツクボウシや虫の鳴き声が聞かれ、季節は少しずつ秋へと移り変わりつつあるのを感じます。
秋と言えば、澄んだ夜空に煌々と光る月を見るのがとても楽しみです。
そして月と言えば、忘れられない思い出があります。

娘が5歳くらいだった頃、夜道を手をつないで歩いていたのですが、娘は後ろを振り返っては首をかしげ、それを何度も繰り返しながら歩くのです。そしてしばらくすると、確信したように「やっぱりやん」と言いました。「何が?」と訊くと、「さっきから、お月様が私について来てる」と。私は微笑みながら「そう?きっとお月様もあなたが大好きだからついて来るんだね。」と言いました。

子どもが感じる「不思議」に対して、どのように応えたら良いのでしょうか。
「月は何万キロも離れていて、しかも夜暗い中であなたの目が月の明かりに捉われるから、ついて来ているように感じるんだよ」と科学的な説明をする人もいるかも知れません。

しかし、幼い子どもに対しては、その子が理解できる方法で話す必要があります。科学的な説明は10歳以降くらいが適切でしょう。6、7歳くらいまでの子どもはまだまだ幼児的な思考、つまりファンタジーの世界観の中で生きています。ファンタジーとは時間と空間を無視した思考ですから、物理的な説明は適切ではありません。

そして「世界は自分が中心」という幼児性自己中心主義の世界観も持っていますので、一般論ではなく「子ども中心」で応えるのが適切です。

娘は、「お月様が私について来る」と言いました。この「私に」というのが「自己中心性」です。「私たちについて来る」とは言っていません。「お母さんにもついて来ている?」とも聞いていません。
関心があるのは「自分とお月様」だけです。

ですから、「皆について来てるんだよ」とか「人は皆、目の錯覚を起こして、そう見えるんだよ」というのも(事実ですが)適切ではありません。

幼い子どもに応答する時は子どもの視点や観点に則して言うと良いですよ。私たち大人も子どもの感性に戻れる貴重な時なので、私はこのような子どもとの対話がとても楽しいと感じます。
皆さんはいかがでしょうか。
(文責:野口 紀子)

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