
うちの家族の者が、地域ボランティアをしている人に頼まれて朝の登校時見守りをすることになった。
7時半から8時10分くらいまで近所の交差点に立って、子どもたちが安全に道路を渡れるようお手伝いする。同時に子どもたちの様子にも気を付ける。
彼が都合がつかない時には私が交代することになり、これまでに数回立つことがあった。
初めての時、「おはようございます」と、にこやかに声を掛ける私を無視するかのように、子どもたちは何の返答もなく通り過ぎる。「最近の子どもは挨拶もしないのか」と半ばがっかりしていたのだが、数回立つうちに挨拶を返してくれるようになった。
「知らない人に対しては愛想良くしない」はある意味当然のことだったかも知れない。そして、それも大事なことではある。
同じ場所で、蛍光色の線が入ったベストとキャップというお決まりの出で立ちで声を掛けるこのおばちゃんを3回5回と見るうちに安心感を持つようになってきてくれたのだろう。私自身も何度も目にする子どもたちに次第に親しみを感じるようになってきた。
そんなことを考えていると、心理学用語に「単純接触効果」というのがあるのを思い出した。アメリカの心理学者ザイアンスが提唱したことから「ザイアンス効果」とも呼ばれる。これは、何度も同じ人や物に接していると次第に親しみや好意を持つようになるという人間の自然な感情のことだ。
そして「ファミリア・ストレンジャー」という言葉も思い出した。これは、「顔は知っているけれど良く知らない人」のこと。毎日電車の中で会う人など、同じ場所や時間でいつも会うから顔は知っているのだけれども、住んでいる所や名前、職業などは分からない。しかし、いつも同じ場所と時間で遭遇するという事は、お互いに決まった日常を過ごしている証拠でもあるので自然と信頼感が持てる。
災害時や事故時には、このような人同士は助け合いの力になれるのだとか。ちなみに「ファミリア・ストレンジャー」はミルグラムというアメリカの心理学者の考えだ。
こうしてみると、登校時見守りのボランティア活動は多くの効果を秘めていると言える。安全に通学するためのお手伝いであるのはもちろんだが、顔見知りになることで地域の安全安心感や助け合いの気持ちを助長するという良さもありそう。地域全体が人の想いで生き、成長する有機体のようにも思えてきた。
可愛い子どもたちに「おはようございます!」と笑顔で声掛けしながら、地域のボランティアをされている方々への感謝の想いも湧いてきた。
(文責:野口 紀子)







この記事へのコメントはありません。